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Cygamesアニメ事業部・守屋竜史さんに聞きました!

2017.04.28

『GRANBLUE FANTASY The Animation』の制作に携わっている皆さんへのインタビューをお届けする「スタッフさんに聞きました」。
今回はCygamesのアニメ事業部から、アニメーションのプロデューサーを務める守屋竜史さんにお話を聞いちゃいました!
原作側の立場からアニメ制作に参加している守屋さん。ゲーム版の魅力を活かしつつ、アニメならではの良さを引き出すためにたくさんの工夫をされたそうです。
ゲームとアニメの間に立って作品を支える守屋さんのインタビュー、早速ご覧ください!
 
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ーー守屋さんはCygamesアニメ事業部から『GRANBLUE FANTASY The Animation』に参加されていますが、作品にはどういった経緯で携わられることになったのでしょうか?
 
守屋竜史(以降:守屋) 私がCygamesのアニメ事業部に所属して、最初の仕事は東京ゲームショウ2015で公開された『グランブルーファンタジー』アニメPVの“アニメ脚本執筆”と“製作業務”だったんですよ。そのPVが公開された直後に、「実はTVアニメの企画が動いていて、それをアニメ事業部で担当してほしい」と前プロデューサーの春田(康一)から伝えられました。
ですので時期的にはANIPLEXの鈴木(健太)さんと春田が企画を進めていて、テレビシリーズが正式に発表された辺りから参加した形になります。
 
 
――立場としてはANIPLEXの鈴木さんと連名で「プロデューサー」としてクレジットされていますが、どういった役割で作品に関わっているのでしょうか?
 
守屋 大きく分けると3つの業務にかかわっています。1つ目は「製作」として、「GRANBLUE FANTASY The Animation」を多くの方に見てもらうための様々な事を、プロデューサーの立場から考える業務です。放送に関わることはもちろん、Cygamesとしてできる、宣伝や、話題になるための施策をアニプレックスの鈴木さんと共に行っていきます。
2つめは、監督を始めとしたA-1 Picturesの皆さんと共に、アニメーション自体を「制作」する事です。本読みをはじめとして、AR、DB、V編など、殆どの現場に顔を出します。A-1 Picturesの皆さんと共にアニメフィルムのクオリティが最高のものになるよう、日々取り組んでいます。
3つめは、簡単に言うと、「ゲーム側の現場」と「アニメ制作側の現場」を繋ぐ業務をしています。原作チームメンバーが大切にしたいと思っている様々な要素、キャラクターやメインストーリー、バトルといった個別の点を線として繋げて面にして、アニメーション上ではどう表現するのがベストかを考え、監督たちと決めていく、クリエイティブに関する業務もさせていただいています。
 
 
――アニメ化企画に自分が参加すると決まったとき、どのようなお気持ちでしたか?
 
守屋 元々Cygamesに入る前から、いち騎空士として『グラブル』をプレイしていたんですよ。そこから入社してすぐに、自分が好きなキャラクターであるヴィーラをメインにしたPVを作らせてもらえて、その上テレビシリーズにも参加できた訳ですから、願ったり叶ったりという感じでしたね。
 
 
――『グラブル』のサービス開始時には、守屋さんはまだCygamesに入社していなかったんですね。
 
守屋 そうなんですよ。そもそもアニメ事業部ができたのが、2015年3月と『グラブル』のサービス開始以降なんです。それ以前に自分は、アニメ制作スタジオで制作や企画営業の仕事をしていました。脚本にも興味があったので、何年かシナリオライターもやらせていただいてました。その後に、Cygamesと繋がりができて今に至る形になります。
 

――Cygamesのアニメ事業部と聞いていたので「ゲーム会社内で設立されたアニメ制作部署」だと思っていたのですが、守屋さんご自身、アニメ制作の経験が豊富なんですね。
 
守屋  自分も含めてアニメ事業部のプロデュ―サーはアニメや実写のクリエイティブに直接携わっていた現場のたたき上げが多いですよ。そして、その経験はとても役に立っていると感じています。
 
 
――原作側とアニメ制作側の両方の意見がわかる立場として、アニメ化で活かしたい『グラブル』の魅力やこだわりはどのような部分でしたか?
 
守屋 全部がこだわりというくらい、山ほどあるんですけど……(笑)。「世界をどう表現していくか」ということにはすごくこだわりました。
まずは「空を巡る壮大な物語」「仲間と共に駆ける空の旅」という全体的なイメージを持って、それを実現するためには何が必要かを考えました。そこから脚本やバトルの演出、キャラクターデザインで気を配っている部分、背景のアートワーク、音楽がどういう意図で作られているか……『グラブル』の世界を構成する要素をひとつひとつ抽出して、細分化して再構築していきました。。
 
 
――完成された原作の魅力を一度分解して、アニメ化にあたってそれぞれのパーツをどう活かすかを考える必要があったんですね。
 
守屋 そうですね。その上でプロデューサーの木村(唯人)の希望である「世界の背景美術を見せてほしい」、福原の「グラブル独特の世界観、現実とは違うファンタジーの世界を意識して描いてほしい」ということや、前任の春田(康一)の希望である「ボーイ・ミーツ・ガールをちゃんとやりたい」というオーダーに沿いながら、アニメ版グランブルーファンタジーのパーツを組み立てていく作業をしました。
 
 
――オーダーには、どのように対応したのでしょうか?
 
守屋 ボーイ・ミーツ・ガールの物語を描く上で、グランを主人公としてより勇敢で能動的にするのと、ルリアをどうやって守ってあげたいヒロインらしく見せるか、ということに気を付けていました。
原作にない部分でもありますが、それがアニメならではの魅力になると思っています。また、他キャラクターでもそうですが、必ず「そのキャラクターが魅力的に見えるにはどうすればいいか」というところに特に気をつけて取り組んでいました。原作と違うエピソードになってしまっていても、「カッコよく生き生きとした」行動やセリフを優先させキャラの魅力を、アニメでは出すようにしています。
演出面ではグランが自然に危険からルリアを守っていたり、ルリアが落ち込んでいれば兄のように手を差し伸べたり、ふたりの自然な距離感が「羨ましいな」と思ってもらえる表現を、伊藤監督がふんだんにフィルム上にとりいれてくださっているので、オーダーにはぎりぎり応えられているかな(笑)と思っています。ルリアヒロイン感でてますよね?そう思っていただけていたらうれしいです(笑)
 
 
――確かに原作のグランはプレイヤーとイコールなので、あまり細かい仕草までは描かれていませんでしたよね。
 
守屋 ナチュラルに身体が動くということは、その人の生きる動機を表現できるんです。グランが「困っている人を助けるのは当然でしょ」という動機を持っていることは、彼の騎空団に仲間たちが集まる理由に繋がっていると思います。ここでも「そういうゲーム設定だから」ではなくて、「グランがこういう人だから、皆が彼に助けられたり彼を助けたくなったりするんだ」と視聴者の皆様に自然に感じていただけたら嬉しいです。
 
 
――アニメ化するにあたって、グランの他に描き方が変わったキャラクターはいますか?
 
守屋 グランの意思がはっきりしたことで、ゲームだとビィが担当していた語り部の役割が彼に移ったんですよね。結果ビィのやることが圧倒的に減ってしまって……(笑)。その分ツッコミ役を一手に請け負ってもらっているので、アニメのビィはコミカルな描写も多くてより可愛らしくなりましたね。
 
 
――もうひとつのオーダーである、世界観や背景美術のこだわりについてはどのように対応されましたか?
 
守屋 そちらは伊藤監督がとてもこだわって対応してくださっています。例えばポート・ブリーズの宿で皆で夕飯を食べているシーンがあるとしたら、ザンクティンゼルとは特産品が違うので第1~2話で描かれたものと食べ物が異なっていたり。小柄なハーヴィンのシェロカルテが登場したら、ヒューマンのサイズに合わせたイスの上に「よっこらせ」と登ってきたり。そういう描き方で「異なる風土で、異なる種族が暮らしている」というファンタジー感を表現してくださっています。そういう表現の取り込みは作品をより素敵なものにしていると感じています。
 
 
――多くのファンがプレイしている『グラブル』のアニメ化にあたり、気を付けた部分などはありますか?
 
守屋 キャラや世界観の魅力を「原作以上に絶対に出す」という使命感をもって取り組みました。また、それぞれのキャラクターが、本来持っているイメージを崩さないように気を付けました。特にグランは元々ゲームのプレイヤーとイコールになる存在なので、彼が嫌な奴に見えないようにということには気を配りました。 あとはルリアのヒロイン感(笑)
 
 
――制作過程で特に密に連絡を取り合っているスタッフは誰なのでしょうか?
 
守屋 自分は窓口であり舵取り的な役割なので、沢山のスタッフと密に取り合っていました。例えば、製作分野ではアニプレックスの鈴木さんと日々、ファンの方を笑顔にするにはどうしたらいいかという話を妥協せずに続けています。制作分野では、木田さん(A-1 Pictures プロデュ―サー)とクリエイティブを限界まで高める試行錯誤を共に行っています。設定制作の方とはアニメキャラや美術などの設定の1つ1つのやり取りもさせていただいています。劇伴の発注や描き下ろしのアニメBGMのやりとりも、ドッグイヤー・レコーズさんとします。
Cygames社内ではシナリオチームの寺嶋(恭平)と滝澤(直)と、ストーリーをどう進行するのかということで常に話し合いをしていますし、ディレクターの福原(哲也)には沢山のアニメ素材のチェックや、世界観にかかわる相談をさせてもらいました。社内メンバーにはゲーム運営にプラスして、アニメ業務も沢山こなしてもらっているので、正直足を向けて寝れません(笑)
 
 
――福原さんやシナリオチームと話し合いつつ、要点をまとめてオーダーをアニメ制作側に伝えるのも守屋さんの仕事なんですね。
 
守屋 ゲーム側のスタッフとアニメ側のスタッフとで、やりたいことが食い違ってしまう場合があったり、アニメとゲームで、メディアの違いからベストな表現方法は違うので、自分はその間でどの要素を重要とするのかをまとめる役割でもあるんです。関わっているポイントによって『グラブル』らしさは人それぞれにあって、双方が納得できる落とし所を決めるのが自分の仕事でもありました。
絶対に押さえなくてはいけない点は福原が用意して、アニメらしさの部分は自分で決めて「アニメではこの方向でいきたい」と福原と相談したり、とにかく「決めて進めていく」という仕事が山のようにありました。
 
 
――制作作業中の印象的なエピソードはありますか?
 
守屋 制作過程で楽しかったのは本読み(※スタッフが集まって行うシナリオ会議)ですね。監督もスタッフも含めて、それぞれに『グラブル』が好きでリスペクトがあるからこそ「こうしたい」「このキャラはこういうことを言うよね」という案が自然に皆から出てきていました。全員から「こうだよね」という意思が綺麗にまとまるときって、「これは作品が魅力的になるぞ」と思えるんですよ。それができる瞬間に毎回立ち会えたということは、とても素敵なことだと思っています。
 
 
――Cygamesの人間であり、かつアニメ制作現場の経験者である守屋さんの立場から、ゲームとアニメの違いで苦労された点はありますか?
 
守屋 ゲームとアニメでは根本的に作り方が違うんですよ。絵やイラスト1枚にしても、線1本までこだわるのがゲームで、一定のクオリティのものを数千枚重ねて流れで見せるのがアニメなので、そもそもの考え方が違うんです。
例を出すと、アニメの現場側からはある程度「動かしやすい」という前提で絵が上がってくるのに対して、Cygames側は「1枚絵でも美しく見えるように」と、それぞれが異なる基準でチェックをするんです。キャラクター、シナリオ、美術のどれをとっても意識の差異は生まれるので、まずはその差異を埋めるために異文化コミュニケーションの通訳に立たなければなりませんでした。今はみなさん共に同じ方向を向けていますが、最初はとても苦労したのを覚えています。
 
 
――他の方のインタビューでは「普段の作業との違い」という意味での質問だったんですが、ゲーム側とアニメ側の中間に立つ守屋さんならではの苦労ポイントですね。
――ゲームの現場とアニメの現場を繋ぐ作業の中で、何か新しい発見はありましたか?

 
守屋 ゲームのスタッフひとりひとりが線1本や1文字に魂を賭けてやっていることが改めてわかりました。「このゲームを本気で作って愛しているんだな」と再度深く実感できた事は、この仕事を通して得た大きなもののひとつですね。だからこそ自分も同じように魂を賭けて、この作品に挑んでいると胸を張って言えます。
 
 
――アニメ化にあたって、楽しみにしている部分はどこですか?
守屋 一番嬉しいなと思うのは、自分の身の回りの友人から「『グラブル』始めたよ」とか「ゲームを一度辞めてしまっていたんだけど、アニメをきっかけに帰ってきたよ」などと言ってもらえることなんですよ。他にも電車の中で「カタリナ格好良いよね」と話している人を見かけたり、皆の生活の中に『グラブル』が浸透していく現象を目の当たりにできるのがアニメ化による私の楽しみのひとつだと思っています。 
 
 
――アニメ版で注目してもらいたいポイントはどこですか?
 
守屋 バトルの描写ですね。もちろんメインシナリオも重要ですが、ゲーム内のバトルをアニメに落とし込んだ時にどう表現するのかという命題が自分の中にあったんです。
例えば第4話にはドランクとのバトルシーンがあるんですけど、彼はイラスト上でいつも持っている宝玉を使って戦うんです。3色の宝玉が空中に浮いて、手に吸いつくように動いてグランの剣を弾いたりするんですね。「自由自在に宝玉を動かしている」という描写はすごくゲームユーザーからしたら新鮮だと思いますし、それぞれのキャラクターがイキイキと戦っていることはアニメ化ならではの注目ポイントだと思います。伊藤監督はそこを丁寧に表現してくださっているので、とても感謝しています。 
 

――ゲームでは描かれていない、キャラクターたちの具体的な戦闘方法が見られるというのは期待が高まりますね。
 
守屋 キャラクターももちろんですが、星晶獣とのバトルにも注目してもらいたいですね。巨大な敵とどう戦っていくのかというのは、ゲーム的な表現では省かれている部分ですから。ザンクティンゼル編以降だと、第5話で描かれるティアマトとグランサイファーの空中戦は見所ですよ。後半の各星晶獣の力を借りてのバトルにも注目してもらいたいですね。 
 

――SSレアのカタリナが手に入るなど、パッケージに付属する特典もかなり豪華ですが、ANIPLEXが担当する製作(宣伝や販売)部分にも守屋さんは関わっているのでしょうか?
 
守屋 はい。そのあたりも鈴木さんと一緒に進めています。パッケージは木村や福原と話しながら進めました。木村も福原もアニメをとても大事に思ってくれていて、元々ゲームをプレイされていた方にも、これから初めてゲームをプレイする方にも喜んでもらえれる特典を考えてくれました。
第一巻の特典はエルステ帝国軍中尉カタリナです。メインストーリー上で仲間になるSレアのカタリナも魅力的ですが、帝国時代の彼女も入れ替えながら楽しんでみてもらえると嬉しいです。 
 

――最後に『グランブルーファンタジー ジ・アニメーション』を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いいたします。
 
守屋 色々な街や種族が存在する世界で、王道のファンタジーを作っています。ゲームアニメと共に、いち騎空士としてグランたちと一緒にワクワクする素敵な空の旅をお楽しみください!
 

 
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